記者バカ一代 マル秘取材メモで振り返る、昭和&平成「記者会見」裏面史

号泣!大爆笑!居直り!記者会見に見る、昭和・平成史

マツコ・デラックス 「海老蔵暴行事件」を冷たくブッタ斬った「さぁ…好きに生きて」

                                

 2010年11月に港区西麻布のバーで関東連合元リーダーらと同席中、トラブルに巻き込まれ、左頬を陥没骨折。

 さらに前歯や鼻など顔面全体に全治2カ月の大ケガを負った市川海老蔵(現・市川團十郎)が、世間を騒がせたとして謝罪記者会見を行ったのは、同年12月7日である。

 集まった500人の報道陣を前に、左目を真っ赤に充血させて緊張した面持ちの海老蔵は、

「多くの方にご迷惑をかけ、誠に申し訳ありません。心よりお詫びします。深く反省しています」

 そう涙目で謝罪すると、

「殴られた時、逃げていた時、死ぬかと思いましたが、こちらから(暴力は)一切していない」

 として、妻の小林麻央から「生まれ変わって」と懇願されたことを明かした。

 1時間半の会見中、11回も頭を下げ、反省の色を見せた、のだという。

 ただ、筆者はこの時間に別件取材があり、この会見は見ていない。

 そのため、あえて「という」と書いたのだが、翌8日に都内で行われた「カラオケ JOYSOUND Wii SUPER DX ひとりでみんなで歌い放題!」新商品記者発表会に出席したマツコ・デラックスの「海老蔵謝罪会見」の感想が非常に彼女らしく面白かったので、今回はそちらを取り上げてみたい。

 いつからマツコが芸能界のご意見番的キャラとして、重宝されるようになったのかはわからない。

 ただ、おそらく視聴者もメディアも「美川憲一」や「デヴィ夫人」などの毒舌では、さほど食指が動かなくなっていたこともあり、新たな「毒舌キャラ」誕生を心待ちにしていた。

 そんな折、ジワジワとエッジの効いたコメントで頭角を現してきたのが、マツコだったような気がする。

 というわけで、本題へ。

 マツコは会見でこう語った。

「気持ち悪くて(中継された会見の模様をほとんど)見ていないのよ。最初、丁重に(謝罪に)入ったじゃない。私、ああいう人には『やんちゃならやんちゃを貫いてほしい』と思っているから、ああ…ってなっちゃった。いい家に生まれてきたの(海老蔵)と、野良犬みたいなところから這い上がってきたオカマ(マツコ)とは関係ない話だわ」

 いきなり一刀両断である。海老蔵に何かひと言ないか、と問われても、

「さぁ…好きに生きて」

 だが、カラオケゲームの会見ということもあり、デュエットしたい人を聞かれたマツコは「海老蔵?」と苦笑い。しかし、好きなタイプを問われると、

「そこだけは譲れない。あの人がモテるのはすごいわかるけど、私はああいう顔は好きじゃないのよね。私のような一人カラオケしている世の中の人には朗報。変な西麻布の店にも行かなくていいし、殴られなくても、殴らなくても済む。家で歌ってればいいんだから、こんな時節柄を反映したいい商品は、ほかにない」

 スポンサーが喜ぶよう、ナイスにまとめて会見は終了。

 さすが稀代の女装コラムニストと言われたマツコのコメント力に、思わず脱帽する記者会見となったのである。